hydrangea --riri blog--

1992年生まれ。職業は看護師。

医療現場の実情

私の病院には感染症の病床がないため、県内のコロナウイルス患者が次々と運ばれてくる、という状況ではないのですが、コロナウイルスの流行による様々な影響が出てきています。

 

医療従事者以外の皆さんは、病院内部の状況を知る機会があまり無いと思いますので、とりあえず私の勤務する病院の現状を挙げてみます。

 

1.物資の不足

・マスクが1枚もないのでスタッフは各々マスクを調達して使用している

・通常なら感染予防の目的で1日に何回かマスクを新しくするが、1日1枚、同じマスクを使用している

・ゴム手袋やビニールエプロンも不足

(ビニールエプロンがなくなったら45ℓビニール袋に穴を開けて被るそうです)

・アルコール消毒液の不足

・環境整備用のアルコールクロスの不足

 

2.看護師業務の圧迫

・患者への面会が禁止になり、患者の家族が持ってきた洗濯物などを看護師が病院玄関まで取りに行き、家族とやり取りをするという業務が激増している

・アルコールクロスは不足しているが、感染予防のため病院内で患者が触れるところ(手すり、ベッド周囲、トイレ等)を1日に数回消毒する必要がある

・発熱した患者は全てコロナウイルス感染を疑い、個室に移動させて隔離している。他の病気で個室管理が必要な患者が、個室を使えない状況。

 

3.病院の診療機能への圧迫

・不急の入院や手術の延期

検査入院などが延期になると、本来なら早期発見できていた病気の発見、治療が遅れて命に関わることもある。

・手術が中止になる=病院の収入減

病院も会社と同じで、手術や診療をしないと経営が成り立たないのです…

 

 

もう一度言いますが、私の勤務する病院は、コロナウイルスに感染した患者の対応で追われている状況では、まだない。にも関わらず、これだけの影響が出ています。

 

国の偉い人は、このままだと医療崩壊を起こす『恐れがある』と言っている。けど、管理職でも何でもないただの平社員ナースが見ても、やはりすでに医療はひっ迫しているのではないかと思います。

 

病院としてもこのような状況は初めてで、次々と出てくる問題に対して、日々対応に追われています。入院している患者さんも不安です。家族も、面会が出来ないので余計に患者さんのことが心配です。病院にたくさん電話がかかってきます。

 

面会禁止にしているにも関わらず、「5分だけでもいいので直接会わせてください」と言って強引に病室に入ろうとするご家族もいます…

何のために面会禁止にしているか考えてほしいのです。私たちは、患者さんと家族を離れ離れにさせたいわけではありません。意地悪をしているわけでもありません。

病院には肺炎になったらすぐに死に至るような高リスクな患者がたくさんいます。あなたが「自分一人だけ、5分だけなら良いだろう」と病室に入ることにより、直接手を下さずとも何人でも殺すことができるのです。

 

看護師として一番恐れているのは、「自分がもしコロナウイルスに感染したら、患者さんたちまで死の危険に晒してしまう」ということ。毎日本当に気を張って、患者さん、自分、家族の命を守りたいという気持ちで仕事しています。

すでに自分の手にはウイルスが付いているという意識で仕事しているので、一つの作業や処置ごとに手を洗い、アルコールで皮膚がかぶれて手荒れも酷くなってきました。

 

現場はこんなに大変なんだ!!とアピールしたい訳ではないんです。医療の現場の状況を知っていただいて、それで少しでも皆さんの行動が変わることに繋がれば、という気持ちです。医療現場がひっ迫することにより被害を被るのは、医療者だけではなく、他でもない皆さんです。もう「コロナウイルスが流行らなければ、今死ぬことはなかった命」を増やしたくありません。感染予防のため誰にも面会してもらえず、最期を看取られず、亡くなっても顔も見てもらえずに火葬される。大袈裟な話だと思うかもしれませんが、それが今まさに現実で起こっています。自分や家族、友達、大事な人がそうなることを想像してみてください。もし心が痛むなら、自分が取るべき行動は分かるはずです。